野萩 / 久生十蘭

野萩のword cloud

地名一覧

明石町

地名をクリックすると地図が表示されます

時間があるからとおっしゃって、なんという通なの、明石町の船澗のあたりにそっくりな河岸のレストランで、見事な海老や生海丹なんか

塩原

地名をクリックすると地図が表示されます

深川っ子で、旅といえば、そのとしまで、東は塩原、西は小田原の道了さまより遠くへ行ったことがなく、深川を離れ

倫敦

地名をクリックすると地図が表示されます

駆落ちをしたというたいへんな評判で、新聞社の巴里と倫敦の支局は、本社からの命令で執拗に邦子の足どりを追及した。男

横浜

地名をクリックすると地図が表示されます

杜松さんと、巴里でおなじキャンプにいたんだが、横浜で焼けた幹さんの疎開先がわからないというから、探しあてるまで、しばらく、

エッフェル塔

地名をクリックすると地図が表示されます

「ちょいと、あれ、エッフェル塔でしょう……巴里の万国博覧会といって、よくあの写真を見せられたもんだった

「ねえ、滋さん、あの上へのぼれるのかしら。エッフェル塔のてっぺんで初日の出を拝んだといったら、話の種になるわね」

ブリュッセル

地名をクリックすると地図が表示されます

伊作のほうはともかく、ブリュッセルへ電報を打つところまで気をきかしたのは、誰だったのだろうと思っ

ニース

地名をクリックすると地図が表示されます

秋の三ヵ月くらいのもので、夏はドーヴィル、冬はニースと、一年中、めまぐるしく遊びまわっているふうだから、いまは巴里にいない

筑波山

地名をクリックすると地図が表示されます

子持の羽織、阿波屋の駒下駄をはいて籠信玄をさげ、筑波山へ躑躅でも見に行くような恰好で汽車から降りてきて、

川崎

地名をクリックすると地図が表示されます

川崎をすぎると、前窓にあたる風の音が強くなってきた。沖に

ボストン

地名をクリックすると地図が表示されます

「君も知っているだろう。正金銀行のボストンの支店長をしていた幹さん」

巴里

地名をクリックすると地図が表示されます

安が、ひとり息子の伊作の顔を見たさに、はるばる巴里までやってきた十年前のことを思いだした。

ひとが、どんな思いをしながらマルセーユへ辿りついたのだろう、巴里までの一人旅は、さぞ心細く情けなかったろう。

するので、その日の午後の急行に乗り、夜おそく巴里に着いて伊作の宿へ行ってみると、案の定、どこかで遊び呆けて

、一年中、めまぐるしく遊びまわっているふうだから、いまは巴里にいないのかもしれず、いるにしても、あのめんどう臭がり

伊作が巴里に落着いているのは、春と秋の三ヵ月くらいのもので、夏

て、「こんなところで降ろされてしまったけど、ここが巴里なの」と、ひくい声でたずねた。

「そうよ、ここが巴里よ」

「へえ、これが巴里」

「巴里って、ずいぶん、しみったれたところなんだねえ。若旦那、なにがよくて、

もなりゃしない。汽車が出てから気がついて、巴里へ着くまで心配のしどおしだったけど、あなたが出ていてくれ

「ちょいと、あれ、エッフェル塔でしょう……巴里の万国博覧会といって、よくあの写真を見せられたもんだった。おやおや

ばかり待って、暮してきたようなもんだわ……巴里じゃ、窓のそばの天鵞絨椅子に坐って、足音に耳をたててい

「あたしゃ、いつも待たされどおしよ。日本で待ち、巴里へ行っちゃ待ち、この二十年、若旦那の帰りばかり待って、暮してき

の紋付の羽織かなんか着て、チンと坐ってるでしょう。巴里には、お元日なんかないんだって、言ってきかせたって、そうか

「あのひとのお嬢さんの杜松さんと、巴里でおなじキャンプにいたんだが、横浜で焼けた幹さんの疎開先

「あなた、巴里のキャンプで、伊作といっしょでしたって?」

巴へ駆落ちをしたというたいへんな評判で、新聞社の巴里と倫敦の支局は、本社からの命令で執拗に邦子の足どりを追及し

を、眼を細めてながめながら、おなじ車におさまって、巴里の町なかを通るなどというのは、二人にとって、おそらくたった一度の

「巴里から?」

「巴里へやってきたのは、二人を別れさせるつもりだったわけ?」

ね……そうまでと知っていたら、なにも巴里へなんか出かけて行くことはなかった」

深川

地名をクリックすると地図が表示されます

は小田原の道了さまより遠くへ行ったことがなく、深川を離れたら三日とは暮せないひとが、どんな思いをしながらマルセーユへ

生きたままを生海苔で食べるという、三代前からの生粋の深川っ子で、旅といえば、そのとしまで、東は塩原、西は小田原

銀座

地名をクリックすると地図が表示されます

「あなた、好きだったわね、銀座の田丸屋よ。荷物が着くと、どっさり入っているわ」