肌色の月 / 久生十蘭
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正午すぎに伊東に着いた。
湖水の風景をスケッチするつもりで、伊東から歩きだしたのだったが、分れ道の近くで雨に逢って困っている
れて湖畔へ出たとき、部長刑事から命令されて伊東のほうへ車を飛ばして行った連絡係の警官が帰ってきた。芝生
「君はそんなことを報告するために、伊東までやって来たのか」
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隠れている。石倉がいいころにハイヤーを廻してよこす。修善寺へ抜けて、夕方の汽車で名古屋に帰る……」
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宇野久美子は、豊橋と大阪の間で消滅し、栂尾ひろという無機物のような女性が誕生した。
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予定どおりに豊橋で下車すると、久美子は車掌をつかまえて、汽車の中で書いておいた
思わず笑ってしまった。宇野久美子という女性はたしかに豊橋まで汽車に乗っていたはずだが、それから先は行方知れずということに
宇野久美子は、豊橋と大阪の間で消滅し、栂尾ひろという無機物のような女性が誕生し
ないようなことなんだ……兄が乗り捨てたプリムスが豊橋のガレージにある。それでロッジへ乗りつける。煖炉をたいて煙突から煙をだす
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五時二十分の名古屋発東京行の列車が着くと、久美子はちがうひとのような明るい顔で窓際
ロッジへ入って来たのは、大池忠平でなくて、名古屋で工場をやっている、弟の大池孝平です」
は顔写真でしか知りませんが、孝平のほうなら、たびたび名古屋の家へ宅参りして、いやというほど顔を見ていますから、
か、君はもう察しているだろう。二十日の朝、名古屋の私のところへ、君代が東京から長距離電話で、こんなことをいってき
ハイヤーを廻してよこす。修善寺へ抜けて、夕方の汽車で名古屋に帰る……」
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、楽しい湖へ」といううたい文句がひどく気に入って、伊豆の奥にあるその湖にきめた。
伊豆の古い伝説によると、湖水の湖心に大きな吸込孔があって、湖底が
十時何分かの大阪行に乗ったはずの君が、伊豆のこんなところにいる……なぜ、そういう複雑なことをするのか、その
たしかに自殺したらしい……この先、まだ逃げまわるつもりなら、伊豆の奥の、こんな袋の底のようなところへ入ってくるわけはないから
せたが、形のないことではしょうがないから、伊豆へ行ってロッジで一と晩、泊ってくれれば、あとは石倉がいいよう
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「和歌山県と奈良県の癌死亡者は人口百万人にたいして千人以上で、比率の大きな
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「横浜の聖ヨセフ学院の百五十名、ジャンボリー連盟の二百名……いまのところ四百名
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午前三時ごろ、浜松に停車した。久美子は網棚からスーツ・ケースをおろすと、浜松で降りる乗客
停車した。久美子は網棚からスーツ・ケースをおろすと、浜松で降りる乗客にまじっていったホームへ降り、それからすぐ前の車輌に移っ
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「二十三日の金曜日の朝以来、萩、十足、湖水の分れ道、吉田口……この四ヵ所で終日検問を実施し
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「和歌山県と奈良県の癌死亡者は人口百万人にたいして千人以上で、比率の大きなことで
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むやみに同情して、この辺には宿屋なんかないから、大室山の岩室ホテルへでも行くほかはなかろうと、おしえてくれた。
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放送の宇野久美子、すなわち君は五月二十日、郷里の和歌山市に帰る目的で、二十一時五十分、東京駅発、大阪行の一二九号列車に
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「宇野さん、和歌山なんだそうですね」
「ええ、和歌山よ」
、日通から身の廻りのものを貨物便で送りました。ちょっと和歌山へ帰って、それからそちらへ伺うようになりますので、それまで雑
では世界的に有名なんですってね……先生、あたし和歌山なんです」
久美子は和歌山までの切符を買って、二十一時五十分の大阪行に乗った。
「郷里へ帰るの、和歌山へ……親孝行をしに」
プロではありませんが、絵描きの部類です。本籍は和歌山……東京に寄留しています。東京の住所を言いましょうか」
「あたし、和歌山の御坊大浜で生れて、荒波の中で育ったようなものなの
「どうしてもということはない。和歌山へ行こうと伊那へ行こうと、それは君の自由だ。呼出しを受けたら
来る前日、君は家財道具を伊那へ送っている。郷里の和歌山へ帰るといって、十時何分かの大阪行に乗ったはずの君
「和歌山へ行くつもりだったのは事実ですが、人間、気の変ることだって
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五時二十分の名古屋発東京行の列車が着くと、久美子はちがうひとのような明るい顔で窓際の
の中を湖水まで歩いて行こうという元気は……あなた東京ですか」
「はあ、東京です」
。この湖で投身自殺するという遺書が、昨夜、おそく東京の御本宅へ届いたそうで、そのことはさきほどもわたしどもへお電話
です。本籍は和歌山……東京に寄留しています。東京の住所を言いましょうか」
ありませんが、絵描きの部類です。本籍は和歌山……東京に寄留しています。東京の住所を言いましょうか」
が、病院の仕事があるので、私は夕方までに東京へ帰らなくてはなりません……母はあなたをロッジへ入れないなんて
がないので、伊東署の捜査本部を解散して、東京へ引揚げるといっていますから、訊問といっても、行掛り上、一応
と約束していただきたいのです。さもないと、私は東京へ帰ることができません。それでは困るから……」
、三時五十四分に豊橋に下車。七時〇分の東京行に乗った。十一時三十分、熱海駅着、十一時四十分の伊東
「あのプリムスは、大池忠平が東京を逃げだすとき、乗って行ったやつだったんで、ちょっと、ひっかかった。
、これは東洋放送の宇野久美子のスーツ・ケースだから、東京へ転送してくださいと頼んだというのです」
。二十日の朝、名古屋の私のところへ、君代が東京から長距離電話で、こんなことをいってきた。半年近く逃げまわって、忠平
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、どこかの安宿で衣裳を換えて、たぶん伊東行の湘南電車に乗る……。