能登 妹背山 富山 福島 東京

へ渡った。高山の月を眺めてから富山へぬけ、能登の和倉で秋ざれの日本海の海の色を見るつもりだった。

厚い大名縞の褞袍に小弁慶のしたうまを重ね、妹背山の漁師鱶七のように横柄に着膨れて谷川に沿った一本道を歩いて

木曾川を西へ渡った。高山の月を眺めてから富山へぬけ、能登の和倉で秋ざれの日本海の海の色を見るつもり

東京を出たのは五月だったが、木曾福島で長逗留をし、秋風の声におどろいて、ようやく木曾川を西へ

東京を出たのは五月だったが、木曾福島で長逗留をし、

いや、私は東京から来た旅のものだと三十郎が言ったがそれでも疑念が晴れ

の絵。その美しさを正目で見たく、こうして東京を出て来たわけだったが。

「もう、東京へはお出にならないのですか」

も祖母もたいへんに嬉しがるので、それを振りすててまで東京へ出たいとは思いません」