藤九郎の島 / 久生十蘭
地名一覧
大阪
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十四年目)の正月早々、また流れ船がついた。大阪の五百石積みで、船頭儀右衛門以下十二人の乗組みで武蔵の江戸川を出帆
といったが、まさしく見透した。遠州から、土佐から、大阪から、日向から、出た港はそれぞれにちがうが、おなじ潮の流れにみちびか
青ヶ島
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、平三郎は四十二歳になっていた。七月上旬、青ヶ島に着き、そこから八丈島に送られ、流人御免の御用船に乗せられて、
島根
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「せっかく島根に漂い着いたが、おそろしげな焼け島で、草木のアヤもみえない。それ
島根にとりついてみると、沖から眺めたよりもいっそうすさまじい岩島であった。
していたところ、はしなくも、身一つでここの島根に着いたと、船頭の儀右衛門が、涙をこぼしながら先着の四人に
房総
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霧がたち、日暮れ方のような暗さになって、房総の山々のありかさえ見わけのつかぬうちに、雷雨とともに、十丈も
江戸
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御免の御用船に乗せられて、九月上旬、命恙く江戸の土を踏んだ。
九十九里浜
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帰り、十一月末、運賃材木を積んで宮古港を出帆、九十九里浜の沖合まで来たところで、にわかの時化に遭った。海面いちめんに水
浦賀
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長く生きるのはお前だから、いまのうちに御船印と浦賀奉行の御判物を預けておく。馬鹿な考えをおこさずに、ふんばりかえって