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マキシム」でもなかなかお目にかかれないような、ボルドオやブルゴーニュの最上古酒を抜いて門出を祝ってくれる。

六阿弥陀のほうから帰るのですけど、きょうはなにげなく長明寺のほうへ曲りますと、すっかりわからなくなって、このへんをいくどもぐるぐる

そのころ堀川はまだまださかんなもので、派手堀川といわれた先代がまだ生きていて

たぶんおけいが六歳ぐらいのことだった。光太郎が堀川へ遊びに行っているとおけいの父の新造が、きょうおけいとお月見を

だして丸焼けになり、両親は東京を遠慮するといって鵠沼へひっこんだが、間もなく死んでしまった。おけいは赤坂表町の須藤と

なルダンさんが、アルムーズとか、シャトオ・イクェムとか、巴里の「マキシム」でもなかなかお目にかかれないような、ボルドオやブルゴーニュの

・モール（死者の日）のしめやかなようすを思いだした。巴里中の店は鎧扉をしめ、芝居も映画も休業し、大道は清々しい

光太郎はふと十月二日の巴里のレ・モール（死者の日）のしめやかなようすを思いだした。巴里中

巴里の山手、ペール・ラシューズの墓地の上に Bellevus de Tombeau と

だが、じぶんにもうすこしやさしさがあったら、おけいを巴里へ呼びよせていたろうし、そうすればニューギニアなどで死なせることもなかった

あたしの顔をごらんになりながら、面白かったわ、あたしいま巴里へ行って来たのよとおっしゃるの……そう、どんな景色だ

、派手堀川といわれた先代がまだ生きていて、福井楼へ百人も人を招んでさかんな帯夜の祝いをした。

。病室の衛生兵に秋田というひとがいて、これは京都の有名なお琴師さんだそうで、おけいさんの部屋に琴爪がある

「ええ、そうなんですの。病室の衛生兵に秋田というひとがいて、これは京都の有名なお琴師さんだそう

新橋のホームで、魚返光太郎が腕時計を見ながらつぶやいた。

さあ、君は早く事務所へ行って取引をはじめたまえ。日本橋へ行くんだろう。ほら、電車がきた」

神田で降りると、ここの市場もたいへんな雑踏で、炎天に砂埃とさかんな

夕方、届いたものを包みにし、銀座のボン・トンへ寄ってキャナッペを詰合わせてもらい、それを抱えて家

光太郎のうちはもと銀座の一丁目にあって、おけいの家は新堀にあった。

「失礼ですけど、こちらさま、もと銀座にいらした魚返さんではございませんかしら」

「あたくし、もと銀座におりました今屋の伊草のもので、千代と申しますんですけど

「今屋さんの建物は、むかし銀座の名物でした。明治初年ごろの古い洋館で、油絵具をはじめて輸入なすった

の冬、堀川が自火をだして丸焼けになり、両親は東京を遠慮するといって鵠沼へひっこんだが、間もなく死んでしまった