顎十郎捕物帳 18 永代経 / 久生十蘭
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が、藤五郎は夜の五ツ半(九時)ごろ、芝浦へ小鰡の夜網を打ちに行って『大清』にはいなかったん
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「永代経というのは自分が江戸を離れて生涯帰ってこられねえとか、死目が近くなって、それに
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京屋吉兵衛は代々の紺屋で、三代前の吉兵衛は京都へ行って友禅染の染方をならって来てこれに工夫をくわえ、
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早いほうがいいと思いましたから、亀のやつをすぐ甲府まで飛ばせてやりました」
。それで見る気もなく見たンですが、たしかに甲府入墨を焼切った痕のようだったというンです。金蔵はヒョイと見
「ですから、甲府でなにか悪いことをしたそのしっぽを吉兵衛が……」
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の改革で、深川辰巳の岡場所が取りはらわれることになり、深川を追われた茶屋、料理屋、船宿などが川を渡ったこちら岸の柳橋に
もうひとついけないことには、やはり天保の改革で、深川辰巳の岡場所が取りはらわれることになり、深川を追われた茶屋、料理屋、
二階建のたいそうもない普請をし、茶屋風呂の元祖深川の『平清』の真似をして贅沢な風呂場をこしらえて湯治場料理屋を
という男で、もとは浅草奥山の興行師。それまでは深川仲町で小料理屋をやっていたが、そのあいだにだいぶ溜めこんだと見え、
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(例)浅草柳橋
月十五日の四ツ半(夜の十一時)ごろ、浅草柳橋二丁目の京屋吉兵衛の家から火が出、京屋を全焼して六
たのは『大清』の藤五郎という男で、もとは浅草奥山の興行師。それまでは深川仲町で小料理屋をやっていたが、その
「浅草御蔵前の長延寺だということです」
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だんだん繁昌するようになって、神田の店が手狭になってきたので柳橋二丁目のこの角地を買い
北町奉行所のお手先、神田鍋町の御用聞、神田屋松五郎。まるで蚊とんぼのように痩せているので、ひょろ松ともいう
北町奉行所のお手先、神田鍋町の御用聞、神田屋松五郎。まるで蚊とんぼのように痩せているので
「神田屋さん、そりゃア……」
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浅草橋の番屋で。
浅草橋からは、わずかな道のり。