モスクワ 大阪 マニラ 高崎 北海道 チェサピーク湾 琉球 足柄 ロンドン 鎌倉 軽井沢 横浜 宮城 赤坂 房総 明治神宮 マルセイユ ミズーリ州 アルプス ソビエト ローマ 九州 ダグラス カサブランカ ワシントン ベルリン 熊谷 樺太 扇ヶ谷 パリ 極東 ニース 両国 巴里 神戸 長崎 広島 新潟 福島 山形 甲府 東京 上野 目白 御成門 銀座 国分寺 日比谷 虎ノ門 湘南 浦賀 東京湾

十六年にはＨ男爵と日銀総裁の謀議。久原さんのモスクワ行きの計画。Ｈ宮は老体の遠山さんを蒋介石のところへやって和平

た翌日、近衛さんに単独拝謁をおおせつけられ、飛行機ですぐモスクワへ行くようにとおっしゃった。近衛さんは夫人さま同伴で広島へ慰問に行く

見せかけで、高崎の飛行場から旅客機に乗り、そのまま一気にモスクワまで飛ぶつもりだった。近衛さんはその前もカナダ経由でアメリカへ行ってルーズヴェルト

なんですよ。あの翌日、九州の第十四方面軍と大阪の第十五方面軍の司令官を広島へ呼んで、本土上陸にたいする作戦会議を

「大阪のなんとかクラブが真似しだしたので、いやだといってやめまし

第一総軍が広島の第二総軍に命令しだしたら、大阪の第十五も九州の第十六もみな動く。けっきょくのところアトミック・ボムブでふッ

て憲兵隊を指揮下に置き、広島の第二総軍、大阪の第十五軍とも連繋をとり、一挙に事をあげる手筈になっていると

アトミック・ボムブが広島へ落ちる六カ月も前、つまり米軍がマニラへ入城したころにもう降伏を決意なすって、広田さんにソ連大使を通じ

第一次進駐の連絡にマニラへ行く河辺さんの見送りをした帰り、横浜で降りて満寿子さんのお墓

ＰＯ戦の二年目、マニラやバターンの残虐行為の話をきくと、満寿子さんはひどく腹をたて、贖罪

米国側の指令を受けるために、日本政府の代表を至急マニラへ送るようにと外務省へ無電が入ったが、Ｈ宮にようやく後継内閣の

わかっても都内の電話はほとんど不通で役にたたない。マニラからは一時間おきぐらいにいつ連絡使を送るかとやかましくいってくる。内閣

軒ずつ要図つきのリストが出来ているそうです。南京やマニラで、あそこまで気ちがいになれるひとたちなのですから、ご親政に対立して

召したまま一晩じゅう首相官邸で待機していらした。マニラへ連絡に行った河辺中将の消息は知れず、ひょっとするといよいよ日本が無くなっ

ばと歎いているところへ、夕方の五時ギリギリに、マニラのＧＨＱから、フィリッピンの多島海附近に颱風が発生しかけているから、四十八時間

、一種の自白のようなものです。自分らが南京やマニラでさんざんやって、身におぼえがあるのだから。それにしても、

漕ぎつけたら、すこしは日本人を見なおしてくれるでしょうか。南京やマニラのことがあったにしましても」

警報がでた。福島、新潟へＢ29が二百五十機、高崎と熊谷と小田原がさかんにやられている。

は夫人さま同伴で広島へ慰問に行くという見せかけで、高崎の飛行場から旅客機に乗り、そのまま一気にモスクワまで飛ぶつもりだった。近衛さん

もしれない。それはともかく暗い闇の庭にすくんで、高崎や小田原が焼かれている空襲のアナウンスを聞きながら、けっきょく日本はどうなるの

のほうはすんだが、航空隊は木更津にも干潟にも高崎にもあり、若いひとたちは逆上したままでいるので、進駐の編隊

だと、山之内ぐらいではだめじゃないかと思うの、北海道ぐらいまで逃げないと。あたしほんとうに悲しいのよ」

あたしが鼻唄をうたっている。これはなんだっけ。〈チェサピーク湾の帆走〉というケーク・ウォークのメロディだ。あたしはいつのまにかノルマンディ

いられるものだろうか。千島も、樺太も、朝鮮も、琉球も、台湾もみななくなって、せいぜいアメリカの一州ぐらいの大きさになってしまっ

あれはいくつのときだったろう。英国の戴冠式に来た足柄を、パパと二人でマルセイユのビアストル・ホテルのバルコンで見た。ストラスブゥル、リシュリュウ

か……ストラスブゥルやリシュリュウが百艘集っても一艘の足柄の意志に及ばないのだということが、子供のあたしにもはっきりわかった

弁解したら、ド・ゴールが〈たぶんお齢のせいでしょう〉とロンドンから憎まれ口をきいたが、フランスはいいところで手をうったので

戴冠式の見物にロンドンへ行くことになって、団体謁見にでるパパとママは先に発ち、あたし

いる牧野さんのテームス河の絵を思いだすと、こんな日にロンドンへでかけて行くのは、ありがたすぎてくしゃみがでそうだった。

が危ないと思っていちはやく運動して、じぶんだけが飛行機でロンドンへ逃げだしたんだ。あとで細君がパリを脱出するのにたいへんな苦労を

それにちがいない。ロンドンまで逃げだしたら客観性は充分だろう。なんといったって五百キロ以上は離れているん

あげていられる。宮殿の礼式やサロンの作法はもとより、ロンドンの四季や行事にくわしい。特製の“Little Londoner”といったところである。

「あなたロンドンにいらしたのね」

になって、ときどき頭の中へ霧がかかるんだ、ロンドンの霧のようなすごいやつが……それにさ、赭っ毛の兎さん

た。よその国民の幸福のために、頭の中にロンドンの霧がかかるほど苦労するなんて、いくらフレッドさんでもすこしひとがよすぎる。

「フレッドさん、またロンドンの霧なの」

ジープから降りてあたしのそばへやってきた。今日はロンドンの霧がかかっていないらしく、はっきりした顔をしている。

お着換えをすませると、朝食をいただいて鎌倉へ帰ったが、もしそれが成功したら、あの方のご苦心の甲斐も

「今日、鎌倉や逗子から、ナイスなお嬢さんが大勢慰問に来られて、われわれとダンスを

が悪しからず。今日は憲兵がうるさいですから、連絡バスで鎌倉までお送りいたします」

みながバスで鎌倉へ帰ると、あたしはひとりで横浜へ行かなくてはならない。こんな派手な

か聖路加病院でおききになればわかります。そのうえで鎌倉の一一一番へ電話をかけてください。ミス・アマミヤの伝言があるはずです。

「軽井沢かしら、強羅かな……ひょっとするアビコかもしれないぞ」

の連絡にマニラへ行く河辺さんの見送りをした帰り、横浜で降りて満寿子さんのお墓を見に行った。墓地と向いあわせのクライスト教会

横浜に近くなると、薄月が出て夜明けのような青い景色になった。前

「横浜のバンド・ホテルに」

ばいいんだね。そんなことならわけなしだ。ランチで横浜まで送られるんでしょうから、帰りに寄るよ。ほかになにかないの」

。あとで怨まれてもこまる。シゴイさんのご名代で横浜のバンド・ホテルへフレッドさんを抱擁に行くことも……

「あれが有名なアメリカの海兵隊です。いま横浜と横須賀の警備をして居ります」

みながバスで鎌倉へ帰ると、あたしはひとりで横浜へ行かなくてはならない。こんな派手なフロックで横浜をのそのそ歩いたりしたら

で横浜へ行かなくてはならない。こんな派手なフロックで横浜をのそのそ歩いたりしたら、他人ヲ挑発スル如キ華美ナル服装ヲセザルコトと、午後

「横浜のバンド・ホテルまで行きたいんですけど送っていただけないかしら」

「そんなことでわざわざ横浜まで行くのですか」

ランチは防波堤の燈台のそばをすりぬけて横浜の内港へ入った。プールの中はたいへんな混雑で、リバァティ型というの

「あなたフロックでしょう。そんな恰好でフラフラ横浜なんか歩かないでちょうだい。大橋さんにいっておきますから、ホテルから車で送っ

と思ってよろこんでいた。厚木へ着く前、空から横浜を見ると、これはもう完全なもんだからね。タマコも、マスコも、

「それでね、横浜のバンド・ホテルへ行ってフレッドを抱擁してやってくれってたのまれたん

加減で気がちがった一人が、練習機に爆弾を積んで横浜へ突っこんで来ないともかぎらない。そんなことを考えていると、すぐ前

でしたが、それにちなんで、きょう夕方の七時半から横浜の山手でカトリックのお祭をし、聖い一夜をすごしたいと思います。出席し

で帰ってまいりました。そのせつは司令部の用艇で横浜までお送りいただきましたそうで、そのお礼も申し述べませんでしたが」

ピストルで射殺したうえ、師団命令で部隊を召集して宮城を占領し、ご座所へ侵入してご詔勅の録音盤をさがしまわっている。

ビラを撒いたうえ、お隅櫓とすれすれに何百回となく宮城の上を旋回し、あの方に話しかけようとするように翼をバンクさせたり

でしょうか。たとえば明後日の調印式にしてもですね、宮城でやるといわれたってしようがないところなんだが、そんなことをいい

「終戦後、海軍の飛行機が宮城の上を飛んだり、〈われわれは絶対に降伏しない〉とか、〈バドリオ

か。もしそうだったら愉快ですね。今夜のパァティって、赤坂のＫ会館前であるＩＲＣの主催の、日本代表の送別会のことではござい

甲板のうえをさわやかに風が吹きとおり、海のむこうに房総の山々が陽にかがやいている。オゥニングの下に半円形に並べたデッキ・

日の空襲の夜、参宮道路の真中にキチンと坐って、明治神宮のほうへお辞儀をしたままの恰好で焼け死んでいられた。

たろう。英国の戴冠式に来た足柄を、パパと二人でマルセイユのビアストル・ホテルのバルコンで見た。ストラスブゥル、リシュリュウなどというフランスの戦艦が

中のアメリカ人だったけど、あなたはだいぶちがうようですね。ミズーリ州の州法では、立ったまま淑女の顔をじろじろ見たりすると、ブラッシの

、ガランガランとのどかな鈴の音がきこえてきた。アルプスで牛の首につける鈴の音とそっくりなんだ。さすがソピエタ国だけあっ

ソビエトは日本からの対連合国和平斡旋の働きかけを、六カ月もの間、上手に

だが、それをカサブランカで揚げ、伊太利の降伏の日にローマであげ、独逸が降伏した日にベルリンであげ……つまり勝利の日を

の最後の仕あげをしようとしている。ワシントン、カサブランカ、ローマ、ベルリン、東京湾と順々にあげた偉大な星条旗を虎ノ門のアメリカ大使館の屋上の

「そうなんですよ。あの翌日、九州の第十四方面軍と大阪の第十五方面軍の司令官を広島へ呼んで、

の第二総軍に命令しだしたら、大阪の第十五も九州の第十六もみな動く。けっきょくのところアトミック・ボムブでふッ飛ばされてしまうの

全権のほうは、今朝、羽田からダグラスで送りだしたが、毎日のように海軍機がデモをやっているし、陸軍

は勝利の最後の仕あげをしようとしている。ワシントン、カサブランカ、ローマ、ベルリン、東京湾と順々にあげた偉大な星条旗を虎ノ門のアメリカ大使館の

がアメリカの西海岸へ逆上陸して、いま破竹の勢いでワシントンへ進軍しているなどといってきかせているそうで、そこへこんなビラ

サン・メード・レイズンとハインツのトマト・ジュース、大統領ではワシントン」

や勝者は勝利の最後の仕あげをしようとしている。ワシントン、カサブランカ、ローマ、ベルリン、東京湾と順々にあげた偉大な星条旗を虎ノ門のアメリカ

、ムッソリニが愛人のペタッキ夫人といっしょにミラノで殺され、ベルリンが壊滅し、ヒットラーが国民にひと言の挨拶もなく、愛人のエヴァ・ブラウンと

降伏の日にローマであげ、独逸が降伏した日にベルリンであげ……つまり勝利の日を飾った歴史的な旗なんだ。それを

動乱がはじまる。前大戦の終戦の一年目には、ベルリンだけで五十万人も餓死したが、勝ったフランスも食べるものがなく、インフレーション

の仕あげをしようとしている。ワシントン、カサブランカ、ローマ、ベルリン、東京湾と順々にあげた偉大な星条旗を虎ノ門のアメリカ大使館の屋上のポールに

でた。福島、新潟へＢ29が二百五十機、高崎と熊谷と小田原がさかんにやられている。

て、希望せずにいられるものだろうか。千島も、樺太も、朝鮮も、琉球も、台湾もみななくなって、せいぜいアメリカの一州ぐらい

「みなさん、昨日からずっと扇ヶ谷にいらっしゃいます」

あたしが扇ヶ谷へ駆けつけたときには、おばあさまが附添って病院自動車で聖路加病院へ

きょう午前十前、ミズーリ艦上では降伏文書の調印式。扇ヶ谷の四代目クラブでは故海軍少佐島野鸛一君と故天宮満寿子嬢の合同

騒ぎをはじめた。前大戦の〈休戦の日〉にはパリではノートルダムの大鐘が鳴り、サイレンがうなり、みな道路へとびだして、抱きあう、

本をつくることにそそいでいるアンドレ・マレの後継者で、パリの国際書籍芸術展覧会へ出品したシェレエの〈アドーニス〉は三万五千ドルでアメリカへ

いた。ママ薯におとらないナチ・マニアで、この前パリへ来たとき、カーキ色のユニフォームに、ＢＤＭ（ドイツ女子青年団）の〈三叉

いうたいへんな抱負をもっていて、娘薯を連れてパリへ講演にやってきたが、その日ちょうどシャリアピンの独唱会があったの

などとうれしがっていたくらいだが、パリにいる日本の女性は、女の兵隊よりシャリアピンのほうに絶大な魅力を感じ

「パリにいらっしゃる日本の女の方たちは、アメリカ風の減食法をおやりになっ

観念が、すでになにか歪みをもっているのですね。パリにいる日本の女の方たちは舞踏室でのトレーニングはお上手でしょうが、体育

いてひどい憂鬱症にかかり、日本を逃げだしてあたしたちのいるパリへやってきた。その後、南京へ行っていた万国赤十字のひとから

一の華やかなルイ十四世代の宮廷生活を四半世紀のあいだパリからせっせと書き送った〈セヴィニェ夫人の手紙〉。それから三代つづいてパリで生れた

せっせと書き送った〈セヴィニェ夫人の手紙〉。それから三代つづいてパリで生れた生粋のパリジャンヌが、子供の頃のパリのさまざまな思い出を書いた

つづいてパリで生れた生粋のパリジャンヌが、子供の頃のパリのさまざまな思い出を書いたドオデエ夫人の〈幼い頃の巴里〉。この二人の

パリを奪取されては、フランスは頭を失った胴体にすぎない。戦争は

になっていた。それまでの時間、妻と二人でパリの街の中で一番好きなところを、たぶんこれが最後になるかも知れ

だけが飛行機でロンドンへ逃げだしたんだ。あとで細君がパリを脱出するのにたいへんな苦労をしている。

細君を置きざりにして逃げだす二時間前、細君と二人でパリを見てあるく白々しさはどうだろう。その男が序文でこんなことをいって

天使の足　アメリカへ行っていた六右衛門さんが、昨日パリへ帰ってきた。みなにお土産がある。珠子さんにはモザイックの美しい襟

はむかし英国へ亡命したなにやら子爵の子孫で、いまパリで英国式作法教授の看板をあげていられる。宮殿の礼式やサロンの作法

流行　だいこんがパリの流行をリードしてやろうという大望をおこす。

Ｈ宮首相はパリにいられるとき、クロード・モネのところで絵の勉強をしていらした。

ドイツがポーランドへ進駐する前日の八月三十一日の夜、パリのイエナ街のオランダ大使館で、皇帝誕辰の祝賀舞踏会がございました……ちょうど

見たことがある。デューカはむずかしいけどあたしはすきだ。パリのラジオでさえめったにやらない曲を、日本の軍艦の上で聞こうなどと

大使館付の海軍武官でパリにいたシゴイさんと遊びだしたころは、パパもママも亡くなられたあと

シゴイさんはパリではフランスの飛行機の調査をしていたが、土曜日の夜になると

まわりにロイド眼鏡でもかけたような黒い輪がつき、むかしパリの大通をロードスターですっ飛ばしていた元気なシゴイさんだとはどうしても

から降誕祭の前に雪が降った年……ユトリロの描くパリの雪景色のような中を、二人で百貨店の正面の飾物を見て歩い

だった。用事というほどのことじゃないが、あのころパリにフレッド・ジュポンという若いアメリカ人がいて、よくいっしょに騒いだことをおぼえ

ぼくたちがパリにいるとき、パリの真中に〈凱旋門〉……ああいう人間憎悪の象徴を

ぼくたちがパリにいるとき、パリの真中に〈凱旋門〉……ああいう人間憎悪の象徴を残して平気でいる

電話をくれたまえ。心理作戦部というところにいる。パリでぼくたちが有頂天なときにそうしたように、間もなく君をぼく

たひとがあってたいへんな騒ぎだったそうだ。あたしはパリでそれを聞いて、火星人が刻々に都会の中心に迫ってくる得態

「あなたがパリで見たのはタクシードを着たアメリカ人でしょう。装備をしているアメリカ人は見

ジュポンに逢わなければならない用があるの。フレッドさんはパリで遊んでよく知っているのよ。おどろかしてやりたいから、だまって連れて

しても、フレッドさん、あたしよとは厚顔しい。むかしパリで遊んだこともあるが、馴れ馴れしくするのはやめてもらいましょう。人種のこと

ない。あたしはこれでもそのほうの名人なんだ。パリの官立女学校にいるとき、セヴィニエ夫人の〈手紙〉やポオル・アダンの〈弔辞

あたしがパリにいるとき、小さな青蛙を飼って喧嘩をさせる面白いお嬢さんがいた。

「満寿子さん、極東の女傑がいまゲエをやるから見ていなさい」

すました顔で本を読んでいた。いつだったかニースの英国人散歩道でシムプソン夫人を見たことがある。素敵な伊太利の麦稈帽子

はただの一度もなかった。三十八年の春はみなでニースの謝肉祭へ出かけ、花合戦の日まで長期の連続興行をやった。

いに交通権を放棄したまま国交回復をしていないから、両国間に電話で話をするような疎通が存在するとはかんがえられない。

空はあくまでも澄み、空気はさわやかで、このときほど美しい巴里はかつてなかった〉となにかの本に書いてあった。統計歴史学の

ユトリロの巴里の雪景色にそっくりなコンコルドの雪を血に染めながら、ソルボンヌの大学生がコムミュニスト

、その晩のうちにベルリン直行で帰ってしまったが、巴里にいる日本人はみな非国民だとひどいことをいって歩いていたそうだ

もエレガントなものだということを即物的に証明し、〈巴里にいる日本の女のかた〉の骨のあるところを見せ、全体主義の

これにはだいぶ凹んだらしかったが、ナチの軍隊が巴里へ進入すると、

なんて、まるでじぶんが巴里を占領でもしたようなことをいった。

パリのさまざまな思い出を書いたドオデエ夫人の〈幼い頃の巴里〉。この二人の女のひとは、小説を書こうとか美しい文章を書こう

フランスの文人大使のメェイストルが聖ペテルブルグへ赴任したとき、巴里の友人に宛てて、今は千八百十五年だが、ロシアでは千五百十年と

早々、二人で旅行したとき、汽車が東京駅を出て神戸へ着くまで、ママが姿勢を崩さずに悠然と坐っていたのに

までの間に世田谷へ落すんだって。次の汽車で長崎へ逃げましょう。切符は買ってあります」

「たいへんだ。長崎へ行って、それからさきどこへ逃げるの」

同盟のＰさんの話だと、長崎では憲兵隊が電流を切って放送を中断し、終戦の大詔と内閣

「いらっしゃい。いつ長崎から帰ってきたの。あちらの人気はどうですか」

のＲさんが、クラブの朝食会で原子爆弾のすごさや広島のアビ叫カンの惨状について自由講話をしたあとで、ヴェランダで

十一日の朝、広島へ現地視察に行ってきた理研のＲさんが、クラブの朝食会で

の第十四方面軍と大阪の第十五方面軍の司令官を広島へ呼んで、本土上陸にたいする作戦会議をやっているというんだから

ところであの方のほうは、アトミック・ボムブが広島へ落ちる六カ月も前、つまり米軍がマニラへ入城したころにもう降伏

へ行くようにとおっしゃった。近衛さんは夫人さま同伴で広島へ慰問に行くという見せかけで、高崎の飛行場から旅客機に乗り、そのまま

、今夜のクウ・デタが成功して、第一総軍が広島の第二総軍に命令しだしたら、大阪の第十五も九州の第十六

せず、別働隊として憲兵隊を指揮下に置き、広島の第二総軍、大阪の第十五軍とも連繋をとり、一挙に事を

があって、追いかけるように空襲警報がでた。福島、新潟へＢ29が二百五十機、高崎と熊谷と小田原がさかんにやられている

いう通知があって、追いかけるように空襲警報がでた。福島、新潟へＢ29が二百五十機、高崎と熊谷と小田原がさかんにやられ

すぎると国道が急に殺気だってきて、憲兵が赤い山形のついた提灯を振って人民の車をみなとめてしまった。山の

解散したが、航空隊は木更津にも、干潟にも、甲府にも、まだいたるところに残っている。どんな加減で気がちがった一人

つくづく無常を感じました。こういう進行状態では原子爆弾の東京訪問は必至ですね。観念するほかないです」

いて明日の朝までに日本側の通報がないと、東京総攻撃を開始するというようなニュースまで入っているそうだ」

「いよいよ東京へ原爆が来るか。短波で傍受したところでは、回答にたいする日本

〈法律第四十九号〉の代表選手が、東京の九段坂からわざわざ鎌倉くんだりまでおいでになるというのには、それ

から近郊へひっきりなしに走りだしているんだそうだ。東京の第一方面軍だけでも、菊名、相模厚木、国分寺、中山と、

「厚木へ降りた連合軍は、この道を通って東京へ進駐するんだね」

いるうちに、トラックの兵隊が、東京近県の各部隊が東京へ転出する輸送準備の一部だというようなことをいっているのを

ないので監視しているうちに、トラックの兵隊が、東京近県の各部隊が東京へ転出する輸送準備の一部だというようなこと

やれやれということになった。河辺さんは九時近く東京へ帰ってきて、連合軍の進駐が二十六日の朝にきまったこと、

機編隊のＢ29に誘導された連合国空軍数百機が東京の上空で大ページェントを行っているうちに、ミズーリのマストにあげてい

東京と横須賀の間を走っている、れいの海軍の黒い連絡バスが、ロータリー

「私は現地除隊をして、出来たらＵＰの駐在員で東京に残りたいと思っていましたので、出来るだけ日本語を勉強しておく

「メルボーンから東京まで……思えば長いみちのりだった。しかしながらわれわれはついにここまでき

で陸軍省と参謀本部の少壮将校が非常に激昂し、上野の山では警備隊が降伏反対の幟をたてて騒いでいる。不穏な

ピアノをすこし奏かせていただきたいんです。自分の家は目白で全焼しましたので、帰ってもなにもありません。ほんの五

の月桂樹の根元に、ルルがそとへ散歩にいくときの御成門がある。ルルの私設道路だから使用料がいるが、そこをぬけて崖

、〈スカートは裾をひくこと〉という法律をだす。銀座やなにかで、裾にけつまずいてずいぶん転ぶひとがあるでしょう」

東京の第一方面軍だけでも、菊名、相模厚木、国分寺、中山と、すくなくとも二コ師団はいる。今夜、零時にどれくらい

〉の第一行目にあの方の名を書いて、日比谷で戦犯追究国民大会をやるんだっていってるわ」

クウ・デタのときもどうにか助かったけど、こんどの日比谷の国民大会で徹底的に批判されたら、とても逃がれっこないわね。バカ

、ローマ、ベルリン、東京湾と順々にあげた偉大な星条旗を虎ノ門のアメリカ大使館の屋上のポールにあげるためにランチで運んでいるところだ。

ていたが、それとはべつに颱風類似のものが湘南にも発生した。進駐の日取がきまった二十一日の夕方からそろそろ

朝からひっきりなしにお別れの電話がかかってきた。湘南じゅうのみっともないお嬢さんが、一人残らず山越ししてどこかへ行ってしまい

ことがわかりますね。嘉永六年の黒船騒ぎのとき、浦賀奉行がだした御触書が翻訳つきで博物館にありますが、外国人を見る

一時ごろ浦賀へ着いた。

舞いおさめ、歴史的な艦上舞踏会も終った。あたしたちは横須賀組と浦賀組と二た手に分れてランチへ乗った。ランチが軍艦を離れて

一九四五年九月二日、九時十八分、東京湾上に於いて

をしようとしている。ワシントン、カサブランカ、ローマ、ベルリン、東京湾と順々にあげた偉大な星条旗を虎ノ門のアメリカ大使館の屋上のポールにあげる