加茂 鎌倉 四条 河内 宇治 逢坂 白川 武蔵国 伊吹 清水寺 敦賀 京都 大津

後白河法皇の院政中、京の加茂の川原でめずらしい死罪が行われた。

だったが、朝廷ではむやみに激怒して、時政を鎌倉へ追いかえすのどうのというさわぎになったような世だから、死刑そのもの

はすっかりうちこんで、口実をつくっては、参殿の行き帰りに四条の公子の家の前に車をとめた。そういう事情から、泰文の気持

の文雄だけは方略の論文を書いて試験に及第し、河内の国府の允になって任地へ発つ運びになったが、二男の国吉は

に素直に勅を受け、二十騎ばかりの伴を連れて宇治の平等院でひとしきり水馬をやったうえ、一糸纏わぬすッ裸で裸馬に乗り

泰文は外道頭そっくりの異形な真額に冠をのせ、逢坂あたりまで出迎えた、鉢叩き、傀儡師、素麺売などという連中に直衣を着せ

なったばかりで、藤原一門でも指折りの物持になり、白川のほとりに方三町の地幅をとって、そのころまだ京都になかった二階

姿を消したような晴々しさになり、二人の息子は白川の館へ帰り、一家団欒して夢のように楽しい日を送っていた

行列をしたがえて入洛すると、馬を早乗りにして白川の邸へ馳せ戻った。

だと、露見した場合の泰文の仕置を覚悟で、白川の邸で行われている、目もあてられないあさましい行態を日記にし

忠文はそのかみ将門追討の命を受けて武蔵国へ馳せ下ったが、途中で道草を食っているうちに、といっても余儀

聞くと、犬養ノ善世はもとは鬼冠者といい、伊吹の山にいた群盗の一味で、首の傷は五年ほど前、山

女御と呼んでいたが、毎月、月初めの三日、清水寺の籠堂でお籠りをすることを聞きつけると、走水の黒鉄という鉢叩きに

に乗り、京の大路小路を練りまわしたうえ、悠然と敦賀へ下って行った。

とも泰文が家名を傷つけぬよう、京へ帰さずに長く敦賀へとめおかれるようにという願文をつくり、兄弟三人の連名で上書した

てしまい、いいなりに赦免状を出したので、ろくろく敦賀の景色も見ないうちに京へ呼びかえされることになった。泰文は外道頭

は、新な恋の悦楽にはまりこんでいた。相手は敦賀の国府にいた貧乏儒家藤原経成の娘の公子という女歌人で、

成の娘の公子という女歌人で、父について敦賀に下っていたのが、京へ帰ることになり、敦賀ノ庄を出る

に下っていたのが、京へ帰ることになり、敦賀ノ庄を出るときから泰文の道連れになっていたのである。

ほとりに方三町の地幅をとって、そのころまだ京都になかった二階屋の大第をかまえ、たいへんな威勢だったが、

振うことも趣味の一つであった。当時、京から大津へ出る美濃路の口にあたる栗田口や逢坂越には、兇悪無慙な