氷島の漁夫 01 氷島の漁夫 / 吉江喬松 ロティピエール
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。全く金髮で――一體に髮の黒い此のブルターニュ邊には稀な頭髮であつた。全く金髮で、亞麻の灰色
毎年、彼女は父親と一緒にブルターニュへ歸つて來た、――海水浴をする者のやうに、たゞ夏だけ―
やがて、彼女は長い空想の中で、去年ブルターニュへ歸つて來た時のことを思ひ出してゐた。
けれど、やはり、この到着の日、眞冬に見たブルターニュのこの峻烈な光景では、彼女も痛くも愕かされた。そしてパンポルへ着く
まるで氣にとめてもゐなかつた。それに、このブルターニュの界隈では、氷島の漁夫達の娘等の間には、體姿の
に浮遊してゐた佛蘭西からの總ての船、ブルターニュからの、ノルマンデイからの、ブーローニュからの、或はダンケルクからの船等。彼等
ブルターニュに於いて、九月半ば過ぎ、もはや冷え/″\する或る日のことで
その小村はもう彼女の後に遠くなつて、そして彼女がブルターニュの最後の岬へ近づくにつれて、周圍の樹木は次第にまばらになつて
等は他の者から離れて、船橋に集まつて、ブルターニュの思ひ出話に耽つた。
‥‥この時、この太陽は、彼方、ブルターニュでもやはり見られた。其處では正午の鐘がまさに鳴らうとして
がたゆたふ限り坐つてゐた。――その夕闇はブルターニュでは長かつた、そして彼方イスランドでは、それは果てしがなかつた。竈
た。けれどまたこれは氷島の漁期の終りを告げ知らせた。ブルターニュへの歸航の途につくべき時を告げた。
黒い髯むしやらの、笑ふ時に齒を見せる男はブルターニュ出のケルジエグウであつた。その他の者はプルウネスか、或はプルウネランからの者
の喪飾の輪を一つ買つて來た、これはブルターニュでは死者の肖像の周圍に飾りつけるものであつた。これで彼の小さな靈廟
十一月にブルターニュへ歸つてからは、彼は幾人かの友達の結婚の席へ付添人
、一つまた一つととめて見ることが出來た。ブルターニュの土地は水の空漠たる靜寂の上に引き伸びて、ぎざ/\し
この作に現はるる老祖母イヴォンヌにしてもさうである。ブルターニュの岸邊へ打ち寄せて來る海の波は、彼女の周圍の者を盡く冷たい北
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さへ、自分の若いあの相談相手さへ、ゐてくれたら、ヤンに逢ひに行つて貰つて、彼の本當の心持を訊いて貰ふこと
それを聞くと、「マリイ」の者共はみなヤンの方へ顏を向けて、彼がもうその凶報を知つてゐるか、
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彼等は輕裝歩兵と驢馬とを乘せるために、チュニスの海岸へ二度泊つた。その時彼は、遠方に、砂原や山
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が黄色のトンキァンの町に一層重くなつてゐた時、ハノイまで送還されてゐたシル※ストルは、またアロンの港まで送られた
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水兵伍長で監督砲手をしてゐた時のことだ、アデンに碇泊してゐると、或る日駝鳥の羽毛を賣る奴等が艦へやつ
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儲けて、彼女をサン・ブリウへ連れて行つた。やがてパリへ連れて行かれた――その時、彼女は小娘のゴオドから、脊の
遠い時の中へ、沈められるやうな感じがした。パリから來て見ると何といふ靜けさであらう! 用足しに霧の中を
いかにも廣く、如何にも薄暗く、思はれた。――パリの會堂などとは非常な違ひで、幾世紀の歳月で、根元の磨り
とはいへ、彼女は、パリには美しい物や愉しい事が多かつたけれど、そのパリを去つたことを
パリには美しい物や愉しい事が多かつたけれど、そのパリを去つたことを、實際くやみはしなかつた。第一に彼女は
の仕度屋へ毎年注文した頭布をつけて、彼女はパリの街々で心落ち着かぬ思ひをしてゐた。何人か振り返つて自分を
かうしたパリの女達の中には、際立つて、その振舞ひが彼女の心を惹きつけた
彼女はむかし住んでゐたパリの驚くやうな不思議な事柄を面白さうに彼に話した。けれど彼はいかに
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『香港で、知つてゐるだらう、あの「家」さ、そら彼處にある
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無限の世界へとさまよつた。彼女の思ひは、極洋の遠い彼方、「マリイ」船長ゲュエルムルの帆走つてゐるかたへと行つた。
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十二月のある朝、一夜の旅の後で、巴里から來た汽車は、霧深い、茫とした、非常に寒い、まだ薄暗い
場所はづれの者だといふ氣がしてゐた。巴里の婦人等といつたら、それこそその華奢な體姿の腰のところに
彼女は、彼を他の男達と較べてみた、巴里の三四人の輕佻な男ども、手代、へぼ文士、それから何だか
に長いお孃さんのコルセツトを取つた、これこそ彼女を巴里風の姿に見せて、人々の口の端に上せたものであつた
一昨日突然死去致され候、その上財産も舊冬中巴里にて始めたる事業失敗のため、殆ど無一物と相成り居るやうの有樣に