樺太 北海道 加波山 愛宕 宇都宮 仙台 新橋 銀座

生活を送り、出獄後は北海道の開墾に従事したり、樺太へ往ったり、南清で植民会社を創立したり、その当時の不遇政客の轍

して、十年に近い牢獄生活を送り、出獄後は北海道の開墾に従事したり、樺太へ往ったり、南清で植民会社を創立したり

旧友は伊沢道之、加波山の暴動の時には宇都宮にいたがために、富松正安等と事を

まだ県会議員でもしているのじゃないかね、僕が加波山の事件を免れたのは、鯉沼君に云いつけられて、宇都宮へ県庁

た方の障子が一枚開いていた。そこからは愛宕の塔が右斜に見えていた。伊沢はその中敷に腰を掛けて

旧友は伊沢道之、加波山の暴動の時には宇都宮にいたがために、富松正安等と事を共にするの厄を

だったから、つい見舞状も出さなかった、今度は久しぶりで宇都宮へやって来たところで、新聞で知ったからやって来たんだ

事件を免れたのは、鯉沼君に云いつけられて、宇都宮へ県庁の落成式が何時あるか、ないかを調べに往って

「死んだも同じことさ、今は仙台にいる小供の処で、一合のおしきせを貰ってるよ、伯

眼つきをした男が坐っていた。中古になった仙台平の袴の襞が見えていた。山田は見覚えのある人だと

夢を見ていたからね、大臣になれりゃ、毎晩、新橋へも往けると思っていたからね、僕の知った男だが、

「ここは銀座の尾張町の角だよ」