本郷 東京 原宿 新橋

「本郷ですか」

××町というのは、東京の西北端から、更に一里半ばかり田舎に引込んだ住宅地の一つで

工事が進むにつれ、原宿に住んでいる手塚が二日置きくらいに見廻りに来た。一緒に幸雄

そう呼ぶのかと石川は思った。すると或るとき、原宿の手塚が、

昼少し前になって原宿と伴立って幸雄が来た。

原宿の計らいで看護婦が雇われて来た。奥さんは長火鉢の前に坐って

不幸な親子のうちへ訪ねて来るのは原宿だけであった。それも義務上一年に数えるほど顔を出すに過ぎ

くらいの年頃の若者らしくおふくろなどと云わなかった。新橋、新橋と云った。

、それくらいの年頃の若者らしくおふくろなどと云わなかった。新橋、新橋と云った。

「新橋も今年の夏はこっちで暮らしたいらしいよ、間に合うだろうかね」

現在新橋に住んでいるのでそう呼ぶのかと石川は思った。すると或る

「あの人も、元は新橋で鳴らしたものさ――太郎って云ってね」

しないでも行くよ。――いいから、福ちゃんも新橋へおかえりよ」