秩父 明治神宮 九段 氷川神社 富士山 小石川 筑波 東京 神保町 神田 麹町 代々木 大塚 目白 目黒 池袋 田端

ねばならぬ。同じく西の郊外から見る野の末の秩父の連山、よく晴れゝば其處まで見る事の出來る甲州信州上州路かけての

ぐる赭土原となり終つてゐる。僅かにその傍の明治神宮の境内に幾分の面影を偲ぶことが出來やうか。

續いた。散歩をすると云へば靖國神社の境内から九段坂を降りて神田の表神保町の本屋を見て歩く、僅かにそんなことで

その丘を降りた所に氷川神社といふがあり、神社の境内に小さな茶店などの出てゐる事もあつた

郊外の背景をなすものは遠く西の空に浮んでゐる富士山の姿であることを忘れてはならぬ。何處からでも大抵は見えるこの

大正二年三年の頃、小石川の大塚窪町に住んでゐた。其處の近くには護國寺の森があつ

崖の上である樣な東の郊外田端の高みから望む筑波のことをも書かねばならぬ。同じく西の郊外から見る野の末の

東京の郊外を想ふ

恐らく今でもあるだらう。其處を出て少し行くと東京市經營の廣い養樹園があつた。公園とか並木とかに植

あつた。ほんのばらばらとした小さなものであつたが、東京の北から東にかけての郊外では全く珍しいものであつた。今

ばら／＼松の小さな木立を珍しいと書いたが、東京の西部の郊外にはそれが到る所に茂つてゐた。即ち澁谷、

ば靖國神社の境内から九段坂を降りて神田の表神保町の本屋を見て歩く、僅かにそんなことであつた。そのほかに遠出

すると云へば靖國神社の境内から九段坂を降りて神田の表神保町の本屋を見て歩く、僅かにそんなことであつた。その

の山奧から出て來て先づ私の下宿したのは麹町の三番町であつた。其處の下宿屋から早稻田の學校まで、誰か

代々木の原は戸山ヶ原より更に粗野な感じを持つてゐた。が、今で

大正二年三年の頃、小石川の大塚窪町に住んでゐた。其處の近くには護國寺の森があつた

いやになつて、もう少し歩かうといふことになる。そして目白橋を渡つて、左折、近衞公のお邸に行き當つて右折、一二

にはそれが到る所に茂つてゐた。即ち澁谷、目黒あたりから西へ入り込んだ丘陵の上にだ。

には芒が輝いてゐた。が、西の方の目黒附近では丘と窪地との交錯が極めて複雜に相交はり、其處に

池袋雜司ヶ谷戸山ヶ原板橋附近の郊外は總じて平地で、其處に茂つ

と、ほんの赤土の崖の上である樣な東の郊外田端の高みから望む筑波のことをも書かねばならぬ。同じく西の郊外