雷門 箱根 下谷 東京 蔵前 浅草

「雷門。へへへへ」望月は明らかに度を呑まれていた。

、そのかりいので、へっへ、ぶつりとね、へえ、雷門の糸が――どうも嫌な顔をしましてな」

ているだけ、助五郎にはすべてが判った。和泉屋だって雷門だって世間態もあれば警察もこわい。で又七代理と偽って和泉屋と

あれば警察もこわい。で又七代理と偽って和泉屋と雷門の二軒へ据わりこんだ助五郎は大枚の金にありついて、一と月程

」と老人は妙な古言を一つ引いてから、「箱根から彼方の化物が、大かたこっちへ移みかえたものじゃろうて」

こと以外、そこには何らの新しい事実もなかった。下谷七軒町の親戚の法事へ行った帰り、この先きの四つ角へ差しかかると、自働

「お手の筋でさあ。だがね、東京の真ん中でせえこう物騒な世の中になっちゃあ、大きな声じゃ言われもし

た。望月は好い気で、「橋を右へ折れて蔵前か、へっへっへ」

蔵前の和泉屋、すると、あの質屋看板の物持和泉屋に相違ないが、そこ

「蔵前へ近えな」

と言いながらさては浅草の和泉屋かと、助五郎は釣り出しを掛けて置いて後を待った。望月