八丁堀 長岡 赤坂 大久保 神田

その頃平次は江戸中の御用聞を押へて、八丁堀からも、フリーランサーとして、何處のどの事件にでも、勝手に働くやうに

それは教へてくれませんでした、でも、越後の長岡だつたと、母が教へてくれたことがあります」

「あつしはまだ手輕な方で、――あの娘は赤坂から麻布へかけての評判ですぜ、あの娘が貰へるなら、あつしだつて、

大したもんさ、町方の勝手務めは、御政道の方で大久保彦左衞門樣見たいなものだ』と勝手なことを言つて居ります。

おや錢形の親分、この後家の殺されたのが、神田まで聞えたんで？」

「いや、わけがあつて、わざ／＼神田から逢ひに來たのさ、惜しいことを」

「神田の平次だ、――降りて來て、神妙に繩を受けろ」