八丁堀 昌平橋 水天宮 石見銀山 江戸 人形町 お茶の水

八丁堀の與力笹野新三郎の役宅、主人の新三郎はその日、鈴ヶ森の磔刑に立ち

又執念深く追つかけて來るぢやありませんか。人形町から八丁堀まで驅け通し、お屋敷の玄關へ着くと氣がゆるんでブツ倒れて

お勝手口から、八丁堀の往來へ出ると、

三十間堀に利助を叩込んで八丁堀へ引返した平次。主人新三郎が勇吉に誘はれて出かけたと聞くと事件の

昌平橋まで來ると、

庭や門の外まで遊びに出て居た新太郎が、水天宮樣の縁日へ行つて見たいと言ひ出したのです。

、何處へも行つた樣子はなく、二人の姿は、水天宮樣の境内から、煙のやうに消えてしまつたのではないかと思ふ

「旦那樣、今思ひ出しましたが、水天宮樣の水茶屋へ、お靜さんを誘ひ入れた男が判りましたよ」

て居るところへ、新太郎の膳のお菜の中へ、石見銀山の鼠捕りを入れたものがありました。幸ひ子供心にも、匂ひを嫌

も尤もだが、何にも知らない若樣を脅かしたり、石見銀山で命まで奪らうとするのはヒドからう」

皆んな兩國に集まつてしまつたせゐか、今晩の江戸の淋しさといふものはありませんでしたよ」

樣といろ／＼お話をし乍らやつて來ると、人形町の往來で、いきなり前に立ちはだかつた者があるぢやありませんか。

そいつが又執念深く追つかけて來るぢやありませんか。人形町から八丁堀まで驅け通し、お屋敷の玄關へ着くと氣がゆるんで

、旅裝束のまゝ、駕籠を二梃呼んで、驀地にお茶の水へ――。

先に立てた新三郎。聖堂の前をダラダラ登つて、お茶の水の方へ、その頃は橋はありませんが、眺めの良いところで

といつたところで、道端に建つた粗末な板屋根で、お茶の水の絶壁數丈の下から、足場を組み上げて張り出した、葭簀張りの凉しい

數十尺の下、夜のお茶の水の流れの中へ、水音高く投げ込んでしまひました。

の勇吉が刑死した越後屋の伜であつたことも、お茶の水に立腐になつた茶店のあることも知り盡してゐたのです