本郷 牛込 湯島 江戸 下谷 千葉 長崎 神田 駒込

皆川半之丞の家に集まる四五人は、本郷から下谷へかけての堅氣の小商人か、小旗本の奉公人で、下

（例）牛込榎町

本郷三丁目から來るのは、以前旗本某に使はれた小者、湯島から通ふ男は、旗本某の乳母だつたといふ老女の件。

眞黒な土です。つまみ上げて掌で碎いて見ると、江戸の往來の馬糞と砂利をねり堅めたやうな土とは全く違つたもので

「いや、江戸には格別の知合もない」

二荒山の奧に居たといふ和泉守一子鐵三郎が江戸に立還り、改めて家督相續を願ひ出で、後見人永井平馬は、家事向不

、後見人永井平馬は、家事向不取締の廉があつて江戸を追放されることになつたのです。

皆川半之丞の家に集まる四五人は、本郷から下谷へかけての堅氣の小商人か、小旗本の奉公人で、下つ

皆川半之丞といふのは、用人川波五六の子一彌、長く千葉の領地にゐて、江戸屋敷に顏を見知つた者のないのを幸

して、既に磔刑にもなるべきのところを、その當時長崎奉行の下役をしてゐた、永井平馬に救はれ、その恩がある

長崎屋は元長崎の商人で、嚴禁の拔け荷を扱つて百萬の富を積みました

の四分の一を占めて聳ゆる、御金御用達兼神田兩替組頭、長崎屋幸右衞門の豪勢な家を振り仰ぎました。

「あの浪宅に集まるのは、八千五百石の旗本で、駒込に屋敷のある、永井和泉守樣の縁故の者ばかりですぜ」

をした樣子だから、大方の見當は付くだらう。駒込の旗本八千五百石、永井和泉守樣の御跡取、たつた一粒種の鐵三郎