銭形平次捕物控 008 鈴を慕う女 / 野村胡堂
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の父といふのは、芳村道之丞といふ切支丹侍で、島原の殘黨。一揆が事を起す前に七人の同志と江戸に潜行し將軍
江戸に潜行し將軍御膝元で事を擧げるつもりでしたが、島原の亂も案外早く平定し、徳川の礎はいよ/\鞏固で、痩浪人
居たこれも西國の浪人者で、多分父道齋が、島原の殘黨七人の連絡係をつとめ、その所名前書を持つて居るのを
を知つて、奪ひ取らうとしたのでせう。島原の殘黨七人の所名前が判れば、強請つても訴人しても相當の
「今頃島原の殘黨が、二人や三人ヨボヨボになつて江戸に居ることを詮索した
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「入谷まで跟けて行つたんですが、恐ろしい八幡の藪知らずの拔け道へ入り込ん
その翌る日、八五郎はすつかり鈴屋になり濟して、入谷から根岸の方へ流して居りました。萬筋の野暮つたい袷に、手甲
いふのは、三四日前、廣徳寺前から跟けて、入谷で首尾よく撒かれた、あの袖の先に血の付いた袷を着て
入谷まで來ると、何を考へたか、平次は卒然として往來に立停ります
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翌る日、八五郎はすつかり鈴屋になり濟して、入谷から根岸の方へ流して居りました。萬筋の野暮つたい袷に、手甲脚絆を
申受け、御本尊を除いた一切の附屬品と共に、根岸の寮の廣い庭に移して、其儘祀らうといふ事に決つて
和泉屋を飛出した平次は、其足ですぐ根岸の大川屋の寮を目當てに行きました。まさかガラツ八の眞似
分の病身、堀留の本宅に置くわけにも行かず、根岸にこんな立派な寮を建てゝ、女手に飽かして住はしてあるのだ
全部寄進する代り、古い祠を何も彼も申受け、此根岸の寮に移して、拜殿に掛けた父の最後の傑作――玲瓏たる名
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の殘黨。一揆が事を起す前に七人の同志と江戸に潜行し將軍御膝元で事を擧げるつもりでしたが、島原の亂も案外早く
「今頃島原の殘黨が、二人や三人ヨボヨボになつて江戸に居ることを詮索したところで、何の足しになりませう。それより
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の平次と子分のガラツ八は、その頃繁昌した、下谷の徳藏稻荷に參詣するつもりで、まだ朝のうちの廣徳寺前を、
「近頃下谷中の古道具屋から、鈴を買ひ集めた者があるつて言ひますぜ
念の爲に下谷へ引返して、徳藏稻荷の氏子總代――和泉屋といふ町内の酒屋の
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參詣するつもりで、まだ朝のうちの廣徳寺前を、上野の方へ辿つて居りました。