江戸 千住 蔵前

質に入れ、年取った母一人を留守に、自分は江戸の知辺を頼って奉公に出たそうですから、それを知っている主人は

「――驚いたことに、それより三日前、江戸の相模屋の使いの者が、五十両の金を持って来て、私が

のです。――私は大地をこの額で叩いて、江戸の御主人にお詫びをしました。母も思いのほか達者で、まだしばらくは

も早く主人に会ってお詫びをしたい心持一パイで江戸へ帰ると、――あの騒ぎです」

返してくれ、百両持って行っちゃ済まないから、わざわざ千住から引返して来ました――というんです」

はありません。下男の権八が下手人にしても、千住から引返して、盗んだ百両の半分を返して行くというのは、

田地も請け戻そうとそのまま飛出してしまいました。が、千住の大橋へ行って気が付いたのです、腹立ち紛れに飛出したものの

のは本当だろう。あの晩五十両の金を持って、千住の大橋から帰ったと聴かなきゃ、俺だってお前を下手人にするよ。

は権八さ。あれは考えは足りないが良い男だ。千住の大橋から引返して五十両を小僧に渡した心掛けが気に入ったよ

「主人はあの晩私を呼んで、お蔵前へ届ける百両の金を預け、明日夜が明けたらすぐ持って行って