九州 神楽坂 江戸 川崎 足柄 長崎 品川

「三年前九州から江戸へ参りました、長崎では、和蘭人などを相手に商法をし

「神楽坂ですよ」

「狐にだまされたと思って、神楽坂へ行って見て下さいよ、牡丹屋敷のツイ裏、長崎屋七郎兵衛と言や大した身上

その翌日は、八五郎に誘われて、神楽坂へ出かけようとしている平次のところへ、岩戸町の下っ引が、思いも

平次と八五郎と、使いの下っ引は一団になって神楽坂へ――、

牡丹屋敷の裏、神楽坂の賑やかさを避けて、素知らぬ顔に世を送っている長崎屋も、朝から

平次はそんな事を言いながら、神楽坂に向ったのです。

になってからのある日、とうとう三度目の凶報を、神楽坂を見張らせた、下っ引が持って来ました。

平次も驚いて立ち上がりました。それから神楽坂へ、

神楽坂の長崎屋へ着くと、そこはもう大変な騒ぎでした。

、あんまりボロい儲けをしたので、長崎を引揚げて、江戸へ来てから三年にもなるというのに、元の商売敵からひどい嫌がらせ

に入らないんだそうですよ、――長崎の敵を江戸で討つ」

青葉時の、この上もなく爽やかな朝でした。江戸の街々も、初夏らしい活気に漲って、急ぎ足の三人の衣袂に風が

「岡さんは長崎からの古い知合で、江戸へいっしょに出て、今では何彼と世話になっておりますよ」

「三年前九州から江戸へ参りました、長崎では、和蘭人などを相手に商法をして、

下女のお角は江戸で雇った四十女で、口はよく動きます。

「皆様、よく出来た方でございました、江戸生れの私には、何かと不自由もございましたが、それは些細な

ば、どんなことだって出来ます。下女のお角は、江戸生れを自慢にして居る金棒引きですから、お勝手を空っぽにして、

が来て、それといっしょに足柄へ参りましたが、江戸へ帰るのは、早くて明日あたりになりましょう」

もあった、浪人の岡浪之進が相談して、別に江戸には親類縁者もないことでもあり、取敢えず長崎屋の後に娘のお小夜

御兄弟のように、隔てなくしていらっしゃいます。昨日は川崎へお詣りに行って、夜遅くなってお帰りでしたが、その時は

「御町内の衆五六人と川崎へ詣り、戻ったのは子刻（十二時）近かったと思います。品川

「足柄へ参りました、武芸の先生が足柄に居て、老病で危篤だとやら

日前にわざわざ使いの者が来て、それといっしょに足柄へ参りましたが、江戸へ帰るのは、早くて明日あたりになりましょう」

「ところで親分、私は主人の毒害された晩は足柄の山中に居て知らなかったが、三人が三人とも、ひどく臆病で

一と通りのことをやって居るだけさ、尤もこんどは足柄の山中に私の先生、塚越鉄翁を見舞い、その御病気の平癒を見届け

長崎屋七郎兵衛の一家が、あんまりボロい儲けをしたので、長崎を引揚げて、江戸へ来てから三年にもなるというのに、

「そんな気のきかねえ話じゃありませんよ、長崎で一と身上拵えた長崎屋七郎兵衛の一家が、あんまりボロい儲けをしたの

「曽我の五郎十郎と言いてえが、実は長崎の抜け荷仲間で、腕の立つのは一人も居ないが、悪智恵の

たのが気に入らないんだそうですよ、――長崎の敵を江戸で討つ」

「長崎の儲けを、長崎屋七郎兵衛とその弟の金之助が、用心棒の岡浪之進といっしょ

「岡さんは長崎からの古い知合で、江戸へいっしょに出て、今では何彼と

「三年前九州から江戸へ参りました、長崎では、和蘭人などを相手に商法をして、利分も多かった

「長崎ではいっしょに働いたというが――？」

「こんどは昔の長崎の仲間が、外から仇をしたとも思えないが」

隠してあります、お勝手を覗いたくらいのことで、長崎のモモンガアに気が付くものですか」

「恐ろしいことでございます、――やはり昔の長崎の仲間でしょう、現に庭にこれが落ちておりました」

たのは子刻（十二時）近かったと思います。品川でさんざん飲んだ酔も覚めて、ヘトヘトに疲れておりました」