銭形平次捕物控 126 辻斬 / 野村胡堂
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ていないから、質屋を当っても無駄だ。九段から駿河台、神田橋外、柳原、両国へかけて出るが御見附の外へ一と足
「あっしも一度あの辻斬にやられましたよ。駿河台で摺れ違いざまピカリと来たとき、捨石に躓いて転んだのが命拾いでし
の音松に案内さして、辻斬の出て来るという、駿河台の闇に網を張りさえすればよかったのです。
て、縄付の耳に囁きます。闇が淀んだような駿河台の路地、平次を加えて三人は、物の蔭に身を潜めて、
鱗を定紋にしている家を捜してくれ。――駿河台の鈴木町辺だ」
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銭形の平次は八丁堀の組屋敷から帰って来ると、鼻の下を長くして待っている八五郎
のことは誰にも聞かしちゃならねえ。八、俺は八丁堀へ行って来る。町役人に死骸を始末して貰って、縄付は番所へ預け
平次は言い残して八丁堀へ駆けました。
事件がその晩のうちに落着して、八丁堀の笹野新三郎に報告して帰ると、ガラッ八は平次を迎えて好奇心にハチ
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だが、あの辻斬野郎を相手にするくらいなら、あっしは大江山の鬼退治に繰り出しますよ。――素知らぬ顔をして、摺れ違いざまに
「武家の騒動は真っ平だ。大江山の鬼退治の方がまだしも面白かろうよ、なア八」
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日に一人、五日に二人罪のない人間がお膝元の江戸で、人参牛蒡のように斬られるのは捨ておき難い。いずれ腕自慢が高じて
怖いなんて言いました。辻斬や蕎麦切が怖かった日にゃ、江戸で御用聞が勤まりますかてんだ」
たしなめられたという伝説的な話さえ伝わっております。江戸の街の夜の秘密は何を包んでいるか分りません。ことによれ
それから十日あまり、ともかくも江戸の夜は無事に過ぎました。が、月の出が遅くなって、宵闇
辻斬を試みてから、次第に病的な嗜好が高じて、江戸の街の闇を横行して、生身を試すことに浮身を窶すようになっ
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(例)牛ヶ淵
しても凄い腕だ。腕自慢の御家人が五人、牛ヶ淵で出っくわしたはいいが、二人は斬られ、二人はお濠に叩き込まれ、
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平次とガラッ八は、縄付の音松を引立てて、昌平橋の方へ下りました。
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「甲賀町の御家人、岩井銀之助様、二十五の辰年だ。腕は大したものじゃねエが
「その萩野という娘と、甲賀町の御家人岩井銀之助が、許嫁の間柄と聞いたらどんなもので」
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と、次第に悪魔的な興味が高じて、神田一円に九段から両国まで荒らし廻る辻斬の狂暴さは、さすがに幕府の老臣方の目にも余ったので
を当っても無駄だ。九段から駿河台、神田橋外、柳原、両国へかけて出るが御見附の外へ一と足も出ないところを見ると、この中に住ん
の小商人といった、滅法野暮ったい風をして、九段から両国へ、柳原から神田橋へと、淋しい道を選って歩きますが、どうしたことか、
くなります。役目は役目ながら、少しでも早く灯のある両国へ出たい本能にさいなまれていたのでしょう。
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度と重なると、次第に悪魔的な興味が高じて、神田一円に九段から両国まで荒らし廻る辻斬の狂暴さは、さすがに幕府
「近頃は辻斬の噂に脅えて、神田中の往来は日が暮れるとバッタリ絶える。辻斬だって斬られ手がなかっ
滅法野暮ったい風をして、九段から両国へ、柳原から神田橋へと、淋しい道を選って歩きますが、どうしたことか、
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平次は浅草橋の番所まで飛んで行くと、ありたけの提灯と二三人の人手を駆り出して
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襲われます。かつて三代将軍家光が夜な夜な辻斬に出て、大久保彦左衛門にたしなめられたという伝説的な話さえ伝わっております。江戸の