奇談クラブ〔戦後版〕 03 鍵 / 野村胡堂

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北海道

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の妹の寿美子ですが、姉が死んだときいて、北海道から参りました」

、自然妹との関係も昔に復して、由紀子はわざわざ北海道まで出かけ、久し振りの妹に逢ったりして居ります。

「北海道から出した手紙を御覧下すったでしょうね」

少し落着いてからの話によると、北海道の生活にも飽きているところへ、札幌の会社は解散したので、

「北海道はそんなにいやになったのかなア」

のを自慢にしていた、美男の流行作曲家が、北海道から出て来た、唯のタイピストに軽く扱われて、次第次第に熱を

併し、この素朴で真面目なHの人柄は、北海道娘の寿美子には、何よりも良い友達でした。Hの訪問が頻繁に

身許に対する疑間を捨てたわけではありません。北海道まで探索の手を伸ばして、寿美子の様子を調べましたが、会社が解散

「何処へ行くのだ、北海道へ帰るというのか」

「いえ、北海道へは帰りません」

札幌

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寿美子はその後札幌のさる会社にやとわれて、社長秘書を勤めているという話はありまし

によると、北海道の生活にも飽きているところへ、札幌の会社は解散したので、とも角身一つで東京へやって来て

そんなことないわ、リラの花と楡とポプラの木の札幌は、なんといっても日本一の都会よ――東京と来たらほこり臭くて

「それがいやなら、札幌へ人をやって、もう一度念入に調べて御覧なさい。私の妹

念入に調べて御覧なさい。私の妹の寿美子は相変わらず札幌で他の会社に勤めていることが解るでしょう。寿美子と私は双生児の姉妹

渋谷

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熱海に泊った上、翌る日の一番早い列車で帰って、渋谷の家へ入るとこの騒ぎです。

丁度それは美しい初春の昼ごろでした。渋谷の駅に近い屋敷町は、東京とも思えぬ閑寂さで、遠く省線

東京

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の昼ごろでした。渋谷の駅に近い屋敷町は、東京とも思えぬ閑寂さで、遠く省線電車の通るのも、何にか百里

それは多分、四日前に死んで、本人の望み通り東京から少しく離れた、都下の村の寺に葬られた夫人由紀子のものだろう

札幌の会社は解散したので、とも角身一つで東京へやって来て、小杉卓二を頼りに、新しい仕事でも見付けたいと

の札幌は、なんといっても日本一の都会よ――東京と来たらほこり臭くて、ゴタゴタして、人間がトゲトゲして、冬に

もうよい、その点は東京のまけにしておこう、しかし東京には――」

「もうよい、その点は東京のまけにしておこう、しかし東京には――」

なア、そのうちに拳闘か野球でも観に行って、東京の良さを満喫させるとしよう」

「私、東京へ着いたら、直ぐお兄様にきこうと思ったの、――あの、

れたことも事実、寿美子が身の廻りの物を持って、東京へ行ったことも事実、その辺には何の疑うべき節もありませ

「東京に踏み止って仕事をさがしますが、丁度Hさんが御自分のアパートに空間