八幡 島原 入谷 根岸 江戸 下谷 上野

「入谷まで跟けて行ったんですが、恐ろしい八幡の藪知らずの抜け道へ入り込んで、とうとう消えっちまいましたよ」

の父というのは、芳村道之丞という切支丹侍で、島原の残党。一揆が事を起す前に七人の同志と江戸に潜行し将軍

いたこれも西国の浪人者で、たぶん父道斎が、島原の残党七人の連絡係をつとめ、その所名前を書いているのを知っ

書いているのを知って、奪い取ろうとしたのでしょう。島原の残党七人の所名前が判れば、強請っても訴人しても相当の

が道斎を殺したとき盗んで売った鈴の中に、島原の残党の所名前が書いてあることに気が付いたためでしたが、

「今頃島原の残党が、二人や三人ヨボヨボになって江戸に居ることを詮索した

「入谷まで跟けて行ったんですが、恐ろしい八幡の藪知らずの抜け道へ入り込んで

その翌る日、八五郎はすっかり鈴屋になり済まして、入谷から根岸の方へ流しておりました。万筋の野暮ったい袷に、手甲脚絆

いうのは、三四日前、広徳寺前から跟けて、入谷で首尾よく撒かれた、あの袖の先に血の付いた袷を着て

入谷まで来ると、何を考えたか、平次は卒然として往来に立ち停ります

その翌る日、八五郎はすっかり鈴屋になり済まして、入谷から根岸の方へ流しておりました。万筋の野暮ったい袷に、手甲脚絆をつけ

が申受け、御本尊を除いた一切の付属品と共に、根岸の寮の広い庭に移して、そのまま祀ろうという事に決っていると

和泉屋を飛出した平次は、その足ですぐ根岸の大川屋の寮を目当てに行きました。まさかガラッ八の真似をして

なにぶんの病身、堀留の本宅に置くわけにも行かず、根岸にこんな立派な寮を建てて、女手に飽かして住まわしてあるのだという

全部寄進する代り、古い祠を何もかも申受け、この根岸の寮に移して、拝殿に掛けた父の最後の傑作――玲瓏たる名

の残党。一揆が事を起す前に七人の同志と江戸に潜行し将軍御膝元で事を挙げるつもりでしたが、島原の乱も案外早く

「今頃島原の残党が、二人や三人ヨボヨボになって江戸に居ることを詮索したところで、何の足しになりましょう。それより大事

の平次と子分のガラッ八は、その頃繁昌した、下谷の徳蔵稲荷に参詣するつもりで、まだ朝のうちの広徳寺前を、

「近頃下谷中の古道具屋から、鈴を買い集めた者があるって言いますぜ」

念のために下谷へ引返して、徳蔵稲荷の氏子総代――和泉屋という町内の酒屋の主人

参詣するつもりで、まだ朝のうちの広徳寺前を、上野の方へ辿っておりました。