銭形平次捕物控 297 花見の留守 / 野村胡堂

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地名一覧

浅草寺

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「四半刻も経ったころ、浅草寺の昼の鐘が鳴りました。ど、どーんと」

「間違いありませんよ。川向うの浅草寺の昼の鐘が聴えると、縁側で指を折って勘定しながら、――

「それじゃ、ちょうど、浅草寺の昼の鐘が鳴ったとき、お前たちは何処に居た。出合茶屋へ

江戸

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江戸の大通ともあろうものが、召使にチョッカイを出して内儀にうんと油を絞ら

と言った、花と酒とに疲れ果てた、不思議な江戸の一角でした。

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だと申します。主人はことの外それが好物で、長崎や堺から、大金を出して取寄せておりました。まことに黄金の汗のように

駒形

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申上げても構いませんか。私は去年の暮まで、駒形の此家の方に奉公しておりましたので、大概のことは知っ

伯次さんと来ては、日本一の珍らしい物好きで、駒形の御店でも、ときどきそれを盗んで呑んでは主人に叱られておりまし

両国

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るものですか。二人で相談ずくで、花見船を脱け出し、両国の出合茶屋へ入ったことは、悪うございましたが、主人を殺すなんて、飛ん

歩いておりました。竹屋の渡しで船をおりて、それから両国まで、話しながら歩いていると、四半刻はかかりますよ」

「東両国の出合茶屋ですよ。土地の下っ引が嗅ぎつけて、デレデレして居るのを、し

長崎

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た蘭方医などある筈もないのですが、それでも長崎には和蘭人がおり、従って蘭方らしいものも日本には芽生えて居

たものだと申します。主人はことの外それが好物で、長崎や堺から、大金を出して取寄せておりました。まことに黄金の汗

向島

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(例)向島諏訪明神裏

「親分、向島は見頃だそうですね」

捕縄を返上して、女房に駄菓子でも売らせるよ。向島へ誘い出そうというのも佐渡屋に誘われたのじゃないか。あすこには

「俺の方がよっぽど呆れるよ。そんなに向島が眺めたかったら、縁側に昇って背伸して見ろ、梁に顎を引っかける

冗談言っちゃいけません。いくら背伸したって、明神下から向島が見えますか」

か八五郎は、良いお天気に誘われて、フラフラと向島に行ったのも無理のないことでした。

八五郎が、向島の寮から帰ると、向柳原の自分の宿の前を素通りに、明神

今日はこれで二度目だ。花はどうだったえ、向島の景気は?」

「へエ、あっしが向島へ行ったのをよく御存じで?」

「冗談じゃありませんよ。明神下の縁側から向島が見えるわけが無いじゃありませんか」

あるし、まだ少し酒の気が残っているようだ。向島で飲んだ証拠だらけじゃないか」

「ところで、向島の土産があるだろう。俺を誘い出した様子は唯事じゃなかったが――

「その吹聴は、いずれ春永に伺うとして、向島の話はどうした」

で、川面は遊山船でいっぱい、小僧の一人や二人が向島へ駈け出したところで、花見船を見付けることなどは思いも寄りません

ませんでした。折から花は真っ盛り、日和は上々、向島の土手の上は人間で盛りこぼれそうで、川面は遊山船でいっぱい、

向島から急の使いが、佐渡屋の騒ぎの中へ飛込んだのです。

寮番喜八といっしょに向島へ行った平次は、案内の百姓に導かれて、綾瀬川寄りの流れ

などに乗って浮かれている気になれなかった、そこで向島の寮へ行って、近所の流れに釣れても釣れなくても構わない

浅草

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「四半刻も経ったころ、浅草寺の昼の鐘が鳴りました。ど、どーんと」

「間違いありませんよ。川向うの浅草寺の昼の鐘が聴えると、縁側で指を折って勘定しながら、

「それじゃ、ちょうど、浅草寺の昼の鐘が鳴ったとき、お前たちは何処に居た。出合

品川

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引き汐に乗って、俺たちが窓から覗いたころは品川の海へ流れて行ったに違いあるまい」

隅田川

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真昼の引汐で、底が見えるほどよく澄んでおります。隅田川がドブのように濁った今日とは違って、いろいろの物語に残って

綾瀬川

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「近所の子供が見付けて大騒ぎになったんです。綾瀬川寄りの三尺ほどの流れの岸で、釣竿を抱いたまま死んでいる

向島へ行った平次は、案内の百姓に導かれて、綾瀬川寄りの流れの岸に向いました。