銭形平次捕物控 185 歩く死骸 / 野村胡堂

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石見銀山

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、御主人は人に殺されたのではなくて、石見銀山か何にか呑んで、自害したことになるが――」

「先づ、この家には、石見銀山の鼠捕り藥などがなかつたでせうか」

の生藥屋を一軒々々歩いて、この家の者に石見銀山を賣らなかつたかどうか、確かめさせたのです。が併し全くの無駄骨

「それは私の仕事でした。でも私は石見銀山なんか入れやしません」

此上の我慢が出來なくなりました。豫々用意した石見銀山を持つて、いつものやうに足を揉みに、主人の部屋へ參ります

江戸

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調子で八五郎を迎へました。この頃の暑さで、江戸の惡者共も大怠業をきめて居るらしく、珍らしく御用の方も閑だ

、義理堅くて口やかましくて、早い話が、うるさい方では江戸一番と言はれた男だ」

の品のよさで割引くやうな、世にもすぐれた江戸娘でした。

「驚きましたね。あの江戸一番の正直者らしい顏をした國松が下手人とは?」